2017/11/04

IRON MAIDEN 「Brave New World」

220px-Iron_Maiden_-_Brave_New_World.jpg ★★★★ JP盤

英国HMバンドの12thアルバム。

ブルース・ディッキンソン(Vo)エイドリアン・スミス(G) が戻ってきました。

まあ、こうなることはブレイズ・ベイリーの実力が疑問視されていた時から薄々感じていたはずで、それを確信した出来事がブルースのソロ作「Accident of Birth」におけるエイドリアンとのコラボレートであったわけだ。
あとは、タイミングだけだったよね。

オーナー的存在のスティーヴ・ハリス(B) にしてみたら、頭にくることが多かったことが容易に想像できる。

心機一転、ブレイズをヴォーカルに据えて、プロデューサーもこれまでのメンバー的存在でもあったマーチン・バーチとの作業を捨てて、ナイジェル・グリーンという無名の人にプロデュースを託し、バンドを支えていたにもかかわらずの出戻りだったからね。
どのように頭の中を切り替えたのかわからんが、だったら、ってことでもないんだろうが、今作からのプロデューサーは直前にジョー・サトリアーニのアルバムをプロデュースしていたケヴィン・シャーリーとなった。

どういう経緯でケヴィンとなったかをライナーノーツで確認すると、スティーヴがオルタナ系バンドSILVERCHAIR「Neon Ballroom」のリズムギターの音が気に入ったということだったらしい。なんじゃ、そりゃ?スティーヴがそれを知っていたとは到底思えんのだが...。
どうも、アメリカ配給担当でもあったジョン・カロドナーの助言からきている話みたいだ。ジョンAEROSMITHとの仕事で、ケヴィンをよく知っていたであろうから、それなら納得できる。

で、今作よりケヴィンとのコラボが続いていくことになるんだから、他人の縁って不思議なもんですね。

ケヴィンの提案で、今作はライブレコーディングすることになったらしく、パリの映画館をスタジオに改造してライブ録りされたものらしい。
ライブ録りは過去作にもあっただろうから、初めてのことではないんでしょうが、出戻り2人組とのケミストリーを心配する中で敢行するのは勇気がいったに違いない。その反面、過去のサーキットで築き上げたケミストリーもあったはずなので、自信もあったんでしょう。

そうして出来上がった今作は最高傑作と大袈裟に言うつもりはないが、出戻った喜びにプラスして王者として君臨するべく到達した気概のようなものが感じられる秀逸な作品となった。
ブレイズ時代の音はもうとっくに忘れたが、ここからのメイデンはもうプログレメタルと言っても差し支えないような気がしますよ。

世界中のメタル野郎どもが期待に胸を膨らませて待つこととなった新作、邦盤の帯にはこんなことが書いてあった。

「激しく燃え続ける鋼鉄魂が叩きつける新世紀への挑戦状。唯一無二、史上最強のヘヴィ・メタル・バンド、アイアン・メイデン完全復活盤ここに完成!ブルース・ディッキンソン、エイドリアン・スミスが戻り、最強メンバーとなって帰ってきたメイデンのスタジオ・アルバム通算12作目。」

うーん、ぜんぜん盛り上がりに欠ける帯じゃん!?って、そんなことはどうでもいい。

今作発表後、世界は確実に変わった。ヨーロッパを中心に南米のメタルキッズに支えられつつ、メイデンも新たな世紀で王者としての威厳を高らかに掲げ、中南米やインド、東南アジア、中国など見知らぬ土地へとメタル布教活動で汗をかくことになるのである。

今作は間違いなく、メタル界にとってのエポックメイキング的なアルバムなのである。

エイドリアンらしいパワーみなぎるリフが鳴り響く①The wicker man が始まると同時に皆歓喜したに違いない、これをみんな待ってたんですよ、って言ってもブレイズ時代の曲にもこんなリフの疾走曲があったような気が...。テンポチェンジの激しい②Ghost of the navigator には感嘆するしかありません。キーボードによるオーケストレーションが涙を誘う④Blood brothersは、後々、ライブで感謝やお悔やみを伝える際のメッセージソングとして使用される感動曲です。⑤The mercenaryは「Virtual Ⅺ」制作時に既に書き始めていたそうで、聴くと前作に入っててもおかしくない毛色なんだが、後半からはガラッと変わってグッとくるあたり、出戻りバンドのケミストリーを感じずにはいられません。⑥Dream of mirrorsも同様に前作制作時のものだそうだが、ブルースに唄ってもらって本当に良かったよね。⑧The nomad はアルバム最長9分もあるんだけど、もっと長く感じます。⑩The thin line between love & hateの最後、締めに至る場面での聞かせどころが見事だよね。

ギターが3人編成になったからなのかどうか不確かだが、よりプログレ色が強くなっていき、コンポーザーも多くなった分、様々な場面設定を詰め込んでいく傾向が今後も続いていくことになります。
2017/10/28

LED ZEPPELIN 「Physical Graffiti」

Led_Zeppelin_-_Physical_Graffiti.jpg ★★★ 94リマスターGER盤

英国HRバンドの6thアルバム。

元々、このバンドは元ネタがあってのパクリバンドであって、オリジナルを作るのにもなかなかに苦労するってことなのだろうか?

今作は2枚組であっても、過去作品のアウトテイク集みたいなものとなっている。こんなこと言ったら、ゼップマニアに怒られるだろうな。

今作用に新たに作曲されたものは、
   D1-① Custard Pie
   D1-③ In My Time of Dying
   D1-⑤ Trampled Under Foot
   D1-⑥ Kashmir

   D2-① In the Light
   D2-④ Ten Years Gone
   D2-⑥ The Wanton Song
   D2-⑨ Sick Again

5th「Houses of the Holy」からのアウトテイクなのは、
   D1-② The Rover
   D1-④ Houses of the Holy

   D2-⑧ Black Country Woman

」からのアウトテイクなのは、
   D2-③ Down by the Seaside
   D2-⑤ Night Flight
   D2-⑦ Boogie with Stu

」からのアウトテイクなのは、
   D2-② Bron-Yr-Aur

幅広い時代からピックアップされているわりには、散漫さがないのがこのアルバムの不思議なところだ。2枚組でしっくりくるのである。

ただ、おっさんは好きか嫌いかで問われれば、嫌いな方にメーターが振れてしまう。だって、長いじゃん!!ちょっと小難しさもどこかあるような気がすんだよねぇ、つかみどころがないっていうかねぇ。

でもでも、ファンの間(特に欧米)では傑作として知られる2枚組なのです。
2017/10/21

LED ZEPPELIN 「Houses of the Holy」

Led_Zeppelin_-_Houses_of_the_Holy.jpg ★★★★ JP盤

英国HRバンドの5thアルバム。

自身のCDカタログリストを見てほんのちょっと驚いた。

ゼップに出会ったのは、ジミー・ペイジ(G) がリマスターシリーズを出すよって言って世間が騒ぎ始めた1990年ころである。
まずは、ベスト盤のCD2枚組「Remasters」を買って予習をしておいて、リマスターされたスタジオオリジナル盤を買っていくわけなんだが、どういうわけか、今作と「Presence」、「In Through the Out Door」の3枚がリマスター盤ではないことに気がついた。

ゼップを買い漁るようになったのは、大学生になってからだと記憶するが、バイト代でCDを買えるようになったとしても爆買いするほどの余裕はなく、せいぜい中古ショップで見つけたものを心躍らせながら買っていた時代だ。
アマゾンもサービスを開始していたかもしれないが、自宅にPCなんてなかったからね。

なもんで、リマスター盤かどうかは確認することなく不人気なアルバムを中古ショップで早くゲットできちゃったってことなんだろう。

元来、音にこだわるジミーが作るアルバムは録音されたマスターから音質がいいんで、今作も含めリマスターに買い直すつもりは一切ありません。ましてや、ナントカ・ミックスヴァージョン等がカップリングされたリマスターのリマスターにはまったくもって興味ございません。

肝心の今作はどうか?って話なんですけど、いいに決まってるでしょ。

1st、2ndで怪物HRバンドぶりを見せつけて、3rdで新機軸を見せて器用なところもあるんだぜってアピールして、4thで昇天。じゃあ、5thでどうする?ってことなんだが、ちょっとプログレ寄りに振れたかなってところだろうか?

いや、待てよ。

実験性や大作みたいなのは1stから既にあったしな。ジョン・P・ジョーンズ(B/Key)のキーボードがよりフューチュアされるようになったことは確かだな。ってことは、より幅が出てきたってことだろう。うーん、苦しい。

圧倒的なバンドアンサンブルで突き進む①The song remains the same、幾重にも重ねらえたギターパートからもわかるように基本はHRなんだが緻密性を取り込んだ手のかかった一品。続けざまに激しさを強調した①から静寂へと移行する②The rain song、アコギで静かにリズムを刻み、エレキがムードを醸す、鍵盤系も多用し、あくまでロックの範疇でオーケストラを組んでるかのような大作に仕上がっている、こんなにもキーボードが主役をはるような曲なのに当時最高のアレンジャーとして名をはせていたジョーンズの名前がクレジットがされていないのが凄く不思議だ。③Over the hills and far awayの出だしは「」で聴けるような牧歌的なものだが力強さも同居する佳曲。④The crungeはゼップらしからぬファンキーソングで、シンセを大胆にフューチュアしてるところが80年代のディスコミュージックの先駆けのようなんだけど、そんなに大きな拒否感は自分にはない。⑤Dancing daysもへんちくりんなリズムに乗るギターがへんちくりんな音を出してくる摩訶不思議な曲なんだが、なんでもインド音楽に影響されて作ったものだそうです、妙に納得。⑥D'yer Mak'erはジャマイカンレゲエ、ここまでくると確かに大問題作だな、聴きなれたおっさんは大好きなアルバムになってます、彼らの凄いのは他人のジャンルを取り込む時でも自分たちの武器とでも言えるロックにおける基本楽器だけでその音を創り上げてしまうってとこだろうな、だからロックの域を大きく踏み外さないってわけだ。今度こそジョーンズのアレンジが結実した⑦No quarter、プログレ大作ですな、宇宙間への拡がり方がハンパない、かつ、美しい、絶品。⑧The ocian は結成当初に戻りそうなタメの効いた生粋のHRでロバート・プラント(Vo)のハイトーンもこの頃はまだ生きていたってのがよくわかります。
2017/10/15

WHITESNAKE 「Live at Donington 1990」

220px-Whitesnake_lad.jpg ★★ ITA盤

1990年ドニントンでのモンスターズオブロック・フェスにおけるトリを務めた時のライブ。

今時のフェス出演者は、THUNDER、QUIREBOYS、POISONAEROSMITH、WHITESNAKEとなっている。

バンドメンバーは、エイドリアン・ヴァンデンバーグ(G)スティーヴ・ヴァイ(G)ルディ・サーゾ(B)トミー・アルドリッジ(Drs)リック・セラッテ(Key)となっている。

いや、まぁ豪華っていう一言で済まされるライブだね。

音からも超豪華なステージングが容易に想像できるし、DVDもあるから映像で持ってた方がいいかも。

デイヴィッド・カヴァデイル(Vo)が静かに唄う時はイイんだけど、大声を張り上げるときはキツイなぁー。それはこのころからというよりDEEP PURPLE時代もそうだったわけで、聞き苦しくてCDを取り出してしまうほどではない。
フェスで会場がデカいということもあるんでしょう、いつもより無理して大声を絞り出してるという感じ。
だから、持久力に問題があって、曲の途中で声が小さくなって息切れているような場面も何度か(っていうか、しょっちゅう)あるよね。

カヴァデイルがギターヒーローたちと一緒にやるのってどうなんだろうね?
バブリー時代の香りがプンプンして凄いライブなんだけど、ヴァイに負けじとエイドリアンもけっこう曲中で聴きなれないフレーズをぶちこんでくるんだよね。
特にジョン・サイクス時代の曲でそれをやられると、何度も聴いて親しんだ過去の名曲で肩透かしを食らう場面があったりするわけで...。
まあ、別人がプレイしてるんだから当然だし、受け入れなきゃな。

D1
① Slip of the Tongue
② Slide It In
③ Judgement Day
④ Slow an' Easy
⑤ Kittens Got Claws
⑥ Adagio for Strato/⑦ Flying Dutchman Boogie エイドリアン・ソロ
⑧ Is This Love
⑨ Cheap an' Nasty
⑩ Crying in the Rain

D2
① Fool for Your Loving
② For the Love of God/③ The Audience Is Listening ヴァイ・ソロ
④ Here I Go Again
⑤ Bad Boys
⑥ Ain't No Love in the Heart of the City
⑦ Still of the Night
2017/10/08

WHITESNAKE 「Slip of the Tongue」

Slip_of_the_tongue.jpg ★★★ US盤

英国っていうか、元英国HRバンドの10thアルバム。

デイヴィッド・カヴァデイル(Vo) with オールスターバンドがジョン・サイクスヴィヴィアン・キャンベルに去られた後(っていうか解雇?)どうなったかって言えば、凄腕スーパーギタリストのスティーヴ・ヴァイ(G)を起用してぶったまげたっていうお話になる。

まあ、そういう印象のアルバムなんだが、実際のところはエイドリアン・ヴァンデンバーグ(G)と曲作りを始めて、ケガでレコーディングに参加できなくなったエイドリアンの助っ人としてヴァイを呼んだというのが正しいらしい。

おっさんにとっては、リアルタイムで出会ったアルバムが今作であって、当時としてはヴァイの過去の偉業はまったく知らなかったし、前作「Surpens Albus」すら知らない状態でこれに出会った。

なので、ブルージーだったころを懐かしむ先輩たちの嘆きなんてどうでもよかったし、BON JOVIをはじめとしたMTVメタルにどっぷり漬かっていた自分としては素直にストライクゾーンとして聴けたアルバムだ。

プロデューサーとしてGUNS N' ROSES「Appetite for Destruction」を手掛けたことで時の人となっていたマイク・クリンクと前作から引き続きのキース・オルセンを起用して、一言でいえばゴージャスなアルバムに仕上がっている。

ちなみにマイクは、UFO「Strangers in the Night」やSURVIVOR「Eye of the Tiger」ではエンジニアとしてキャリアを積んでたみたいなんで、突然現れた天才とかいうのではなく、下積みのある人のようです。

そして、ヴァイなんだが。

そもそもヴァイがキャリアをスタートさせたのはフランク・ザッパに見いだされたことによるらしい。ってことは、フュージョン系なのか?その後ソロとして活動を模索する中で、イングヴェイ・マルムスティーンの後任としてALCATLAZZへ加入。VAN HALENを脱退したデイヴィッド・ロスに見いだされて一気にスターダムへとのし上がったわけだ。

名声を手に入れたヴァイとしてはソロ活動も軌道に乗ったわけで、それで充分だったはずのところに思わぬ仕事が舞い込んできちゃったというのが本音なんだろうか。

この辺の予備知識がまったくなかったおっさんとしては、ヴァイの印象としてはウォルター・ヒル監督作の映画「Crossroads」において超絶テクをひけらかした凄腕ギタリストとしての方が鮮明に覚えているわけであります。

まあ、メタル初心者であったおっさんが初めてスーパーテクニシャンとして知られるギタリストを耳にする機会を得たアルバムがこれだったというお話なわけで。

モワァーンとした雰囲気を醸しだすSEからイントロはきらびやかな音色のシンセで幕を開ける①Slip of the tongue、バンドが入ってきてギタープレイの妖艶さにビックリ、まるでシンセを駆使する音使いのようなギターに釘付けになるが歌メロが始ればそこはスターを気取っているWHITESNAKEそのもの、何も変わってません。オーディエンスとの掛け合いを容易に想像できるドライな曲②Cheap an' nastyのギターソロはへんちくりんな音を出していて、曲を台無しにしてるかっていったらそうでもなく、イメージアップにつなげてるからそこがまた凄い。そして、物議を醸した③Fool for your loving、言わずと知れた過去作「Ready an' willing」収録曲の焼き直しであるが、このアルバムから入ったおっさんとしては過去を知らなかったからすんなり受け入れられた、過去を後追いした後もどっちも好きです。ちなみに、20thアニヴァーサリーエドにはVai Voltage Mixってのがあるから更に凄いことになってんじゃないの?④Now you're gone⑦The deeper the love はこの時代らしいベタなバラード。ヴァイが暴れまくる⑤Kittens got clawsなんて大好きなんだけど、聴いててふと思った、このアルバム全曲でヴァイは曲作りには参加していない、エイドリアンと共作したときの原曲をすんげぇー聴いてみたいってなるよね。ドラマチックソング⑥Wings of the stormでもヴァイは弾きまくってますな~。シタールっぽい音でじっくり聴かせるムーディーソング⑩Sailing shipsで幕を閉じる、もう完璧です。