MEGADETH 「United Abominations」

米国産インテレクチュアル・スラッシュバンドの11thアルバム。
自分の中では「Youthanasia」以降、興味のないバンドとなって久しかった。
だから、マーティ・フリードマンとバンドの確執なんてどうでもよかったし、バンドに誰が迎え入れられようが、新作に触手を伸ばすことはないように思われた。
「The System Has Failed」より風向きが変わってきたかに思われたが、この時のバンドはデイヴ・ムステイン(Vo/G) のワンマンバンドであって、セッションミュージシャンと共に作り上げたアルバムであった。
ムステイン自身、これを最後にMEGADETHという看板を降ろそうと本気で考えていたらしい。
そして、バンド活動として再出発するべく本腰を入れたのが今作であって、前評判も上々の中、満を持して発表されたのがこのアルバムってわけだ。そして、離れていたおっさんも再びムステイン大佐に対峙する機会が訪れたということだ。
バンドメンバーは、元KING DIAMONDのグレン・ドローヴァー(G) とその兄ショーン・ドローヴァー(Drs) のカナダ人兄弟と元WHITE LIONで元BLACK LABEL SOCIETYとしてザック・ワイルドとも交流のあるジェイムス・ロメンゾ(B) という布陣。
ミックスには、21世紀メタルのバンドたちにエンジニアとして引っ張りだこのアンディ・スニープが抜擢された。
出来上がったアルバムは、誰もが抱くMEGADETH像を見事に捉えた期待に違わぬアルバムとなっているはずです。
美しいアルペジオのメロディからキタキタキターーー!!スラッシュ然りとしたギターリズム、「お帰りなさい、バンドとしてのMEGADETH」と言いたくなる①Sleepwalkerで幸先よくスタートです。②Washington is next! は、今作のリーダートラックとも言うべきもので、ギターの高音単音の使い方がIRON MAIDENのエイドリアン・スミスに似る。④United abominationsで使われるラジオだか無線交信のようなSEはいつも通りでニヤリとしちゃうよね。⑧A tout le monde は「Youthanasia」収録のリメイク、イタリアのバンドLACUNA COILの女性ヴォーカルがゲスト参加してます。複雑なリフ展開の⑨Amerikhastan はインテレクチュアルスラッシュを標榜するに相応しい曲でしょう。⑩You're deadや⑪Burnt iceでのギター使いも実にスリリング。⑫Out on the tilesは邦盤ボーナスで、言わずと知れたLED ZEPPELINのカヴァー。