2017/12/23

MANOWAR 「Hail to England」

220px-ManowarHailtoengland.jpg ★★ JP盤

アメリカンパワーメタルバンドの3rdアルバム。

アメリカのバンドだが、ファンが多くいるのはヨーロッパであって、バンドが消滅した後もそれは変わらないでしょう。
彼らは、コッテコテのパワーメタルであって、豚骨ラーメンよりギトギトしたそのメタル度の音楽性からは頷ける現象だ。

昨今流行りのヴァイキングメタルとか、ナンとかメタルって連中はきっとみんなMANOWARをリスペクトしているに違いない。

北欧の海賊伝説や中世において戦国時代を経験した土地の西欧人(東欧も含むのか?)なんかは土地柄や歴史観もあるんだろうが、MANOWARが居なかったら、ああいう音楽を創造できなかったんじゃなかろうか?っていうのは言い過ぎか?おっさんの知らなさすぎか?

日本も範囲は狭いが、武士という由緒正しき大義名分の名のもとに他国を乗っ取る戦国時代があったのに、こういう音楽は出て来ないのかね?SABATONなんかに盗られちゃって、おっさん悲しいよ。


それは置いといて、ヨーロッパの中でも、デビュー以降、初期の彼らを支えていたのは中でもイギリスであったらしい。

この記事を書いている時点で、フェアウェルツアーとして開催が告知されている場所はドイツを中心にその周辺国だけだ。

バンド中期以降はドイツが旗頭みたいな役割を果たしているのを考えると、今作のアルバムタイトルは意外なようにも想える。

イギリスにおける人気ぶりがどの程度だったのか想像もできないが、次作「Sign of the Hammer」からはイギリスが拠点のVirgin傘下の10 Recordsと契約を結ぶことになる。

ファンのことを常に考えるバンドのおもてなしとしての「Hail to England」、彼らのキャリアを考えるうえで、この気遣いが功をなしたと言っても過言ではないだろう。

前作「Into Glory Ride」も大仰な曲が大半を占めたが、今回も1曲目①Blood of my enemiesから大仰の王道をいく曲で幕が上がります。

MANOWARの音を特徴づけていたのは、なんといってもピッコロベースをロデオ馬のように使いこなすジョーイ・ディマイオ(B)のベースプレイだったわけだが、今作ではさらに自己主張を増幅させたと言えるだろう。
ギターに勝るとも劣らない速さのピッキングとフィンガリングを操り、コード弾きとアルペジオ、速弾き等の技術を駆使して曲の主役を握ってしまうかのような邁進ぶりは頂点を極めた気がします。

そして、前作にはなかったジョーイのベースソロソングが⑥Black arrowsのインストソングとしてフューチュアされてます。

① Blood of my enemies
② Each dawn I die
③ Kill with power
④ Hail to England
⑤ Army of the immortals
⑥ Black arrows
⑦ Bridge of death



2017/12/03

MANOWAR 「Into Glory Ride」

220px-ManowarIntogloryride.jpg ★★ JP盤

アメリカンパワーメタルバンドの2ndアルバム。

アルバムジャケットを眺めただけでイモ臭さをイメージするのはやめましょう。
ただ、どうしても、このイメージからは気高きメタルウォリアーの細胞を感じ取ることはできない。困った。

MANOWARとはどういうバンドか?
素人が言葉で表現するのはなかなかに難しいので、たまにはライナーノーツをパクるとするか。

ここからは、引用Death!!

『MANOWARは、デビューから今日に至るまで首尾一貫してヘヴィ・メタルらしいヘヴィ・メタルのみを追求してきたバンドだ。彼らが”絶対にやってはならない”とするのは、妥協すること、時代に迎合すること、そしてアンプのヴォリュームを下げること。そんなことをするくらいなら、死を選ぶそうだ。素晴らしいヘヴィ・メタルを聴かせるバンドは他にもいるが、これほどまでのこだわりを持ってヘヴィ・メタルという音楽の激しさ、美しさ、荘厳さを体現しているバンドは他にはいないだろう。』

要するに本物、生粋のメタル馬鹿なわけだ。彼らを心酔するバンドが多くいるのも頷ける。

その一例として、今作中の曲③Gloves of metal のカヴァーを紹介しよう。

カヴァーしたのは、グラインドコア系のバンドANAL CUNTである。



けっこう、原曲通りにカヴァーしてるんですね。

何やら男女の喧嘩のような会話から勢いよくMOTORHEAD型ロックンロール①Warlordがスタート、大仰さは微塵もない。と思いきや、②Secret of steel と③は厚かましいことこの上ないパワーソングとなります。で、④Gates of Valhallaから⑦March for revengeまでの曲は6から8分強にわたる仰々しくもドラマティックな曲が続きます。とにかくクサイ。でも、メタル魂を感じられるスリリングさがリスペクトされるところなんですわ。④で聴けるエリック・アダムズ(Vo) の絶叫なんかゾクゾクすること必至だし、⑤Hatredでのタメの効いたスコット・コロンバス(Drs) の猛々しいドラミングとこれまたエリックの悶絶ぶり、変態以上の何物でもないな。タイトルからしてクサイ⑦の映画のエンディングのような重い重いマーチングソングっぷりには呆れるしかないでしょ。あれ?今作中にはジョーイ・ディマイオ(B) によるお決まりのベースソロ曲がなかったね。

さあ、一緒に叫べ!!

Hail ! Hail ! Hail !
2017/11/26

IRON MAIDEN 「The Final Frontier」

220px-The_Final_Frontier_cover.jpg ★★ EU盤

英国HMバンドの15thアルバム。

この記事を書いている時点で持っているカタログ中、最もしっくりこないというか、印象に残らないアルバムなんだよね。

世間評では、8th「No Prayer for the Dying」よりはマシというものだが、8thが大好きなおっさんとしては世間様とはちょっと嗜好が違うみたいだ。

発売日にCDショップに赴き、視聴器のヘッドフォンで聴いてみて飛び込んできた①Satellite 15... the final frontierのパーカッシヴなイントロでワクワク感を抱かせておいてブルース・ディッキンソン(Vo) によるイントロダクションを説明するかのような伸びやかな語り部が入ってきたら、もう、興奮せずにはいられないでしょ、そこからくる曲の本体部分はメイデンにしてはそんなにファストチューンにはなっていなく、淡々と流れるものの1曲目にはもってこいのキャッチ―さがある。②El Dorado の入り方も全楽器でガッシャーーン、ババーンって大袈裟で、キタキタキターーって感じ、グルングルンに転がるスティーヴ・ハリス(B)のベースが轟けば、そこはもう、メイデンの世界な訳で、ライブで盛り上がること間違いなし。

で、この後も典型的なメイデンソングが続いていくんですけど、なんかこう、代わり映えしねぇなぁ、って感じ?メイデンが今更実験的に更なる進化を求める必要なんてまったくないんですけど、なんだろな、この気持ち。

今作のクレジットを見ると、スティーヴは全曲に関わっている。ってことはスティーヴ色が濃くなるのは必然なわけで、いつものメイデンが似たり寄ったりっていうのもあるんだろうな。

スティーヴが全曲で関わっている過去のアルバムを探してみると、「Killers」、「Brave New World」、「A Matter of Life and Death」がそうなんだよね。まあ、スティーヴがクレジットされていない曲を探す方が圧倒的に少ないわけなんだけど、もっとディッキンソン/エイドリアン・スミス(G)っていうクレジットがあってもいいじゃん的なことなのよ。わかります?

何故か知らんが、ディッキンソン/スミスっていうクレジットは「No Prayer for the Dying」の“Hooks in you”以来、まったくない。でも、これってエイドリアンが脱退した後のアルバムであって、正確に言えば、「Seventh Son of a Seventh Son」の“Moon child”以来ってことになる。

うーん、本人たちはきっとそんなこと気にせずに曲作りをしてるはずなんで、考え過ぎだな。

今作発表時点で、メイデン史上、最も長い収録時間をもったアルバムであって、収録限度ギリギリの76分という長丁場のアルバムとなりました。長い割には、アップダウンが激しくないっていうのもマイナス要素になってるかもしれませんね。

これでも長いのに、次作「The Book of Souls」が2枚組みになるなんて、想像もつきませんでしたね。

① Satellite 15... The Final Frontier
② El Dorado
③ Mother of Mercy
④ Coming Home
⑤ The Alchemist
⑥ Isle of Avalon
⑦ Starblind
⑧ The Talisman
⑨ The Man Who Would Be King
⑩ When the Wild Wind Blows
2017/11/04

IRON MAIDEN 「Brave New World」

220px-Iron_Maiden_-_Brave_New_World.jpg ★★★★ JP盤

英国HMバンドの12thアルバム。

ブルース・ディッキンソン(Vo)エイドリアン・スミス(G) が戻ってきました。

まあ、こうなることはブレイズ・ベイリーの実力が疑問視されていた時から薄々感じていたはずで、それを確信した出来事がブルースのソロ作「Accident of Birth」におけるエイドリアンとのコラボレートであったわけだ。
あとは、タイミングだけだったよね。

オーナー的存在のスティーヴ・ハリス(B) にしてみたら、頭にくることが多かったことが容易に想像できる。

心機一転、ブレイズをヴォーカルに据えて、プロデューサーもこれまでのメンバー的存在でもあったマーチン・バーチとの作業を捨てて、ナイジェル・グリーンという無名の人にプロデュースを託し、バンドを支えていたにもかかわらずの出戻りだったからね。
どのように頭の中を切り替えたのかわからんが、だったら、ってことでもないんだろうが、今作からのプロデューサーは直前にジョー・サトリアーニのアルバムをプロデュースしていたケヴィン・シャーリーとなった。

どういう経緯でケヴィンとなったかをライナーノーツで確認すると、スティーヴがオルタナ系バンドSILVERCHAIR「Neon Ballroom」のリズムギターの音が気に入ったということだったらしい。なんじゃ、そりゃ?スティーヴがそれを知っていたとは到底思えんのだが...。
どうも、アメリカ配給担当でもあったジョン・カロドナーの助言からきている話みたいだ。ジョンAEROSMITHとの仕事で、ケヴィンをよく知っていたであろうから、それなら納得できる。

で、今作よりケヴィンとのコラボが続いていくことになるんだから、他人の縁って不思議なもんですね。

ケヴィンの提案で、今作はライブレコーディングすることになったらしく、パリの映画館をスタジオに改造してライブ録りされたものらしい。
ライブ録りは過去作にもあっただろうから、初めてのことではないんでしょうが、出戻り2人組とのケミストリーを心配する中で敢行するのは勇気がいったに違いない。その反面、過去のサーキットで築き上げたケミストリーもあったはずなので、自信もあったんでしょう。

そうして出来上がった今作は最高傑作と大袈裟に言うつもりはないが、出戻った喜びにプラスして王者として君臨するべく到達した気概のようなものが感じられる秀逸な作品となった。
ブレイズ時代の音はもうとっくに忘れたが、ここからのメイデンはもうプログレメタルと言っても差し支えないような気がしますよ。

世界中のメタル野郎どもが期待に胸を膨らませて待つこととなった新作、邦盤の帯にはこんなことが書いてあった。

「激しく燃え続ける鋼鉄魂が叩きつける新世紀への挑戦状。唯一無二、史上最強のヘヴィ・メタル・バンド、アイアン・メイデン完全復活盤ここに完成!ブルース・ディッキンソン、エイドリアン・スミスが戻り、最強メンバーとなって帰ってきたメイデンのスタジオ・アルバム通算12作目。」

うーん、ぜんぜん盛り上がりに欠ける帯じゃん!?って、そんなことはどうでもいい。

今作発表後、世界は確実に変わった。ヨーロッパを中心に南米のメタルキッズに支えられつつ、メイデンも新たな世紀で王者としての威厳を高らかに掲げ、中南米やインド、東南アジア、中国など見知らぬ土地へとメタル布教活動で汗をかくことになるのである。

今作は間違いなく、メタル界にとってのエポックメイキング的なアルバムなのである。

エイドリアンらしいパワーみなぎるリフが鳴り響く①The wicker man が始まると同時に皆歓喜したに違いない、これをみんな待ってたんですよ、って言ってもブレイズ時代の曲にもこんなリフの疾走曲があったような気が...。テンポチェンジの激しい②Ghost of the navigator には感嘆するしかありません。キーボードによるオーケストレーションが涙を誘う④Blood brothersは、後々、ライブで感謝やお悔やみを伝える際のメッセージソングとして使用される感動曲です。⑤The mercenaryは「Virtual Ⅺ」制作時に既に書き始めていたそうで、聴くと前作に入っててもおかしくない毛色なんだが、後半からはガラッと変わってグッとくるあたり、出戻りバンドのケミストリーを感じずにはいられません。⑥Dream of mirrorsも同様に前作制作時のものだそうだが、ブルースに唄ってもらって本当に良かったよね。⑧The nomad はアルバム最長9分もあるんだけど、もっと長く感じます。⑩The thin line between love & hateの最後、締めに至る場面での聞かせどころが見事だよね。

ギターが3人編成になったからなのかどうか不確かだが、よりプログレ色が強くなっていき、コンポーザーも多くなった分、様々な場面設定を詰め込んでいく傾向が今後も続いていくことになります。
2017/10/28

LED ZEPPELIN 「Physical Graffiti」

Led_Zeppelin_-_Physical_Graffiti.jpg ★★★ 94リマスターGER盤

英国HRバンドの6thアルバム。

元々、このバンドは元ネタがあってのパクリバンドであって、オリジナルを作るのにもなかなかに苦労するってことなのだろうか?

今作は2枚組であっても、過去作品のアウトテイク集みたいなものとなっている。こんなこと言ったら、ゼップマニアに怒られるだろうな。

今作用に新たに作曲されたものは、
   D1-① Custard Pie
   D1-③ In My Time of Dying
   D1-⑤ Trampled Under Foot
   D1-⑥ Kashmir

   D2-① In the Light
   D2-④ Ten Years Gone
   D2-⑥ The Wanton Song
   D2-⑨ Sick Again

5th「Houses of the Holy」からのアウトテイクなのは、
   D1-② The Rover
   D1-④ Houses of the Holy

   D2-⑧ Black Country Woman

」からのアウトテイクなのは、
   D2-③ Down by the Seaside
   D2-⑤ Night Flight
   D2-⑦ Boogie with Stu

」からのアウトテイクなのは、
   D2-② Bron-Yr-Aur

幅広い時代からピックアップされているわりには、散漫さがないのがこのアルバムの不思議なところだ。2枚組でしっくりくるのである。

ただ、おっさんは好きか嫌いかで問われれば、嫌いな方にメーターが振れてしまう。だって、長いじゃん!!ちょっと小難しさもどこかあるような気がすんだよねぇ、つかみどころがないっていうかねぇ。

でもでも、ファンの間(特に欧米)では傑作として知られる2枚組なのです。